ここ10年ほど、加害者の方の意識の変化を感じましたが、
とうとう保険会社まで意識が変わってきたように思います。

2024年は工場をあまり叩かなくなった

2023年に発生した問題から、2024年は保険会社が工場に対してそこまで叩いてこないな、という印象の年でした。
車体協と呼ばれている、事故修理工場(板金工場)の最も大きな団体も、団体として価格交渉を行うなど、ここ数十年の中では大きなうねりのあった年だと思います。
しかし、叩ける先がなくなると新たな叩く先を探すのか、これまでにない問題が連続で発生しています。

被害者に対しそっけない態度になってきた

これまでは、示談のため、早期解決のためと、積極的に被害者の方を保護する”姿勢”を見せていたように思いますが、一部の保険会社は被害者に対して「これ以上は支払えません」「これ以上はできません」「修理工場と話はしません」と言ってくるようになりました。

例えば、時価額が明らかに市場で20~30万円以上ある車でも、
「古いのでレッドブックに載っていません。新車価格の10%で、10万円です。それ以上は支払いません。」
の一点張りです。

これまでは、私が被害者の方に情報提供を行って、市場価格で算出してもらう事で20~30万円の時価額に上がってきたケースでも、
「新車価格の10%で10万円です。それ以上は支払いません。」
と言われるようです。

なぜこのような事が起きるようになったか

保険会社が被害者をいじめている!という訳では無いと思います。

佐野の予想では、「保険会社が加害者を言いくるめられなくなっている」というものです。
これまでは、事故のプロとして加害者や被害者に対し適切なアドバイスを行っていたと思いますし、示談がスムーズにいくような話し合いが出来ていたと思います。実際に、できている保険会社もございます。

もう一つ考えられるのは、保険会社の考え方の変化です。
例えば、「加害者が保険を使わないのであれば、保険会社は我関せず、情報提供もアドバイスも行う必要が無いので時間がかかってもOK」なのか、「評価制度が変わり、保険を使わなかった案件は評価に含まれなくなった(時間をかけなくなった)」のか分かりませんが、こういった事が変化のきっかけになることもあるでしょう。

被害者側に対策はあるのか

被害者の方は、弁護士特約があれば弁護士に相談、ないしは依頼をして、弁護士特約を契約していなければ、無料の弁護士相談を利用するのが一つの手ですが・・・

加害者の方の態度が「事故解決優先」ではなく「お金を払いたくない、少しでも支払う額を減らしたい」だと、弁護士に依頼しないと難しいと思う案件が増えています。

なぜ被害者なのにこのような目に合わないといけないのか、という声も耳にしますが、工場側のアドバイスや保険会社への連絡では対処ができない案件が増えています。
被害者の方が加入している保険会社も、出来る事は非常に限られます。

まとめ:保険会社は恐らく怒られなければ変わらない

このような案件は、弊社だけでも2ヶ月で3件起きています。
被害事故に限れば、かなりの割合となってきます。

保険会社は、金融庁か消費者に怒られないと、こういった態度は改善しないと考えられます。
弊社も加入団体などに情報提供をしておりますが、現時点では改善される見込みはありません。

発生している条件は、
「小損害(または小損害に素人目では見える)」
「保険を使わなくてすみそうな事故」
というところでしょうか。

等級制度の改定で、保険使用ラインが上昇している事も寄与していると思います。
弁護士が入れば基準が変わる、というのは、一人裁判が許されている日本ではおかしな話です。
被害者が損害を立証するには、自動車修理工場で作成する見積りがなければどうにもならないと思いますが、保険会社が作成した見積り以上には支払えない、と言われるのであれば、早期解決は「修理出来ない見積り金額」になっているかもしれません。

この問題が早期に解決する事を望みます。

投稿者プロフィール

shusukesano
shusukesano
2022年7月時点で板金塗装工場のフロント(事故修理担当者)歴16年目。
年間700件近い事故に携わり、事故の総取扱件数は10,000件を超える。
お客様や取引先からはもちろん、同業他社のフロント担当者からの支持も厚く、困ったときは佐野に聞け!という板金工場も多い。
2022年1月に4歳になった娘と家族のため、月間残業時間10時間以下を心がけている。

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