テスラ修理についてお問い合わせをいただく事がございます。
毎回同じようなことをお伝えしている事に気づきましたので、需要のある問合せかもしれません。
今後、電話対応をした際に「詳しくはブログの記事を見てください」とお伝え出来るよう、記事にします。
一般修理工場ではできないと考えた方が安全
弊社では、過去にドアの塗装を行った事がありますが、特にエラー等も出ず、作業も無事に完了しお客様にご満足いただけました。
なじみのお客様であったこともあり、トラブルが無くてホッとしたのを覚えていますが、今考えるとリスクだらけです。
それぐらい、認定工場以外ではリスクが大きいか、リスク無く修理出来る範囲が狭いとお考えください。
(以前は)部品入手性が悪い
記事を書いている2024年5月の部品入手性は変わっているかもしれませんが、地域によって差があるかもしれませんし、今は状況が異なるかもしれません。
以前は「部品はカーオーナーには売りますが、修理工場には売りません。」と言われました。
修理工場がオーナーにどの部品が必要かお伝えし、カーオーナーが手配する必要があった、という事です。
その時は「部品取替しないように作業して」というご依頼になりましたので、その時は部品を手配しておりませんが、カーオーナーが部品を発注し、部品代を支払い、部品をどこかまで取りに行く必要があるとなると、かなりの手間です。
入手できるだけマシかもしれませんが、手間もお金も国産車より大きくかかると言えるでしょう。
通常、テスラやBYDなど新興メーカー以外の部品は外車でもヤナセのパーツセンターで取り扱いがありますので、VOLVOやポルシェ以外は部品の入手性は国産車と大きく変わりません。在庫量は国産車より少ないです。
メーカーからの情報が無い
国内流通の車のほとんどのメーカー情報を網羅している、整備工場向け情報サイトのFAINESにはテスラの情報がありません。
例えば、トヨタについては「バンパーのどこを修理するとセンサーの機能を阻害するか」が分かるようになっておりますので、FAINESを見られない工場以外が該当する部分を顧客に説明せず修理する場合、プロとしての職務怠慢と言えます。
テスラについては、そういった情報は全くありません。
バンパーを外すとどういうエラーが起きる可能性があるのか、外すだけなら問題が無いのか、どこを修理しても良いのか、分かりません。
そのため、特にセンサーがついているであろう部品については、外さずに作業をしないとリスクが出ます。
仮にチェックランプ等が点灯しなくても、内部的なエラーが発生しているかどうか確認する手段も持ち合わせていないため、認定工場以外での修理はリスクが高いです。
エラーが出た場合にどうなるか分からない
多くの国産車・外車では、エラーが出た場合でも「最悪ディーラーにもっていけば、エラーの消去はこれぐらいの金額、エーミングはこれぐらいの金額」という目安が分かっています。
しかし、テスラについては認定工場以外で修理した場合に対応してもらえるのか、対応してもらえるとしてもいくらぐらいなのか、どの部品をどう作業したらどれぐらい自動運転のエーミングが必要なのか、という情報がありません。
例えば、認定工場以外で修理した場合にエラーの消去は3万円で行いますが、自動運転関連のエーミングが完了しなかった場合は認定工場で修理をしなおさなければいけません、となった場合、無駄なお金を修理工場に払った事となります。
一般修理工場で修理をしたい場合、エラーが出た場合やエーミングが必要な場合の費用感やリスクを考慮しておかないと、痛い目を見る事になりそうです。
まとめ:認定工場以外で修理しなければいけない場合は、リスクがある
お客様がリスクを背負うと言っても、ボデーショップ佐野としてはエラーが出る、エーミングが必要になる場合、非常に心苦しいため、問題なさそうな作業についてはリスクを了承の上作業させていただくかもしれません。
例えば、サイドシルパネルの修理や、バンパーの地面側の擦り傷だけ、ドア関連の修理の一部等、比較的エラーが出づらい・エーミングが必要になりづらい作業であればお引き受けできるかもしれません。サイドシルに比べると、ドアはリスクが大きそうです。
いずれにしても、仕上がりを担保できる作業にならない可能性があるので、あまりお引き受けしたくないというのは事実です。
また、想定されるリスクは全てお伝えし、弊社ではトラブル発生の際に何の力にもなれない(テスラに電話する事は出来るが、以前の対応からカーオーナー以外へ満足のいく対応をしてもらえる保証はない)事をご理解いただいての作業になるでしょう。
もちろん、一般修理工場の中には「うちなら出来るよ」「やったことがあるしトラブルは無い」と言うところもあると思います。
しかし、経験があっても車種の違いやグレードの違い、場合によっては車種が同じでもオプションや装備の違い、損害の内容や損傷状況等によって前回と同様にはいかないかもしれません。
認定工場以外でご修理を検討される際は、トラブルが発生した場合にリスクを背負うのが顧客なのか、工場側なのかを確認しておいた方が、お互いに気持ちよくお取引が出来ると思い、記事にさせていただきました。
投稿者プロフィール
- 2022年7月時点で板金塗装工場のフロント(事故修理担当者)歴16年目。
年間700件近い事故に携わり、事故の総取扱件数は10,000件を超える。
お客様や取引先からはもちろん、同業他社のフロント担当者からの支持も厚く、困ったときは佐野に聞け!という板金工場も多い。
2022年1月に4歳になった娘と家族のため、月間残業時間10時間以下を心がけている。
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